Character
ナツメさんの気分次第(2015~)あらすじ
「でっきたー」
パソコン画面から目を離し、大きく伸びをする。
横目で部屋の時計を確認すれば午前4時。
後はこれを先方さんに納品すれば仕事終了…。
メールを開きデータを添付したメールを送信して一息つく。
『ピロン』
まるでタイミングを見計らったかのように鳴った携帯を怪訝そうな顔でのぞき込む。
「こんな時間に誰だよ…」
仕事とはいえ起きていた自分も自分なのだがそんな事は棚に上げ、慣れた手つきで携帯の画面上で指を滑らせる。
しかし画面を見て眠そうに細められていた目を見開く。
<HELP!(><)>
「は!?聖羅…!?何が…」
連絡がきたのは専門学校時代の友人で現在声優をしている聖羅こと虹羅 聖。
WEBの私と声優の彼女は学科が違うのだがとある作品作りで仲良くなったのだ。
とまぁ、それは別の機会にして…。
どう返信すべきか迷っていると、直ぐに次のメッセージが受信された。
<仕事依頼があった会社さんでWEB担当がいなくなっちゃったみたいなの~!!
ナツメっち空いてないかな~~っ??(>人<)オネガイ★>
「なんだよ…そんな事か…。」
盛大に安堵し肩を落とす。
…まぁ、本当のピンチならLINEYで連絡なんて来ないだろう。
自分の早とちりにため息をついて思案する。
WEBの仕事、ちょうど一段落ついたとこだが、正直ほとんど知り合いの仕事ばかりで新規は久しぶりなのだ。
まぁ、どちらにせよ詳しい話を聞かないとわからないのだが。
「えーっと、<詳しい話聞きたい>って言っとくか。」
その後、風呂に入ってる間に連絡があり、12時に近所のファミレスで会うことになっていた。
ゲーム会社って言ってたし、私服でいいんだよな?
本来直接のやり取りはなるべく控えているのだが、何やら先方さんの都合上会うことになった。
担当がいなくなった…っていうのもよくわからないし…。
っつか聖羅から全然連絡が来ないんだが…大丈夫か…?
先にファミレスに入りスマホを眺めているとふと影が差した。
「?」
不思議に思い顔をあげれば30代くらいのラフな格好をした男性が立っていた。
この人がゲーム会社の人だろうか?
「あ、あの…な、ナツメさんでしょうか…?」
当たりだ。
すぐにスマホをしまい営業スマイルを出す。
「はい。えっと、衣原さんで…」
「そうです!良かった。聖羅さんから名前と簡単な特徴しか聞いてなくって…」
そう言って気が抜けたようにふにゃっと笑う男性の言葉にひっかかった。
「特徴?」
「あー、えっと、」
男性は笑いながら口を開く。
「髪に緑っぽいメッシュが入っててイケメンだって。」
「友人とは言え聖羅が失礼ですみません!」
「いえいえとんでもない。間違ってないですしね。
改めまして、WingMoonの衣原です!本日はお時間頂きありがとうございます!!」
「いえ、こちらこそ。…ありがとうございます。」
「とりあえず…、ご飯でも食べませんか?」
「は、はい…。」
取りあえず渡されたメニューを見るが見慣れたメニューなはずなのに頭に全くはいってこない。
くそ、久々の対人って緊張する…!
…せめて聖羅がいればなぁ。
『『ピロン』』
12時ちょうどにお互いの携帯が鳴った。
まぁ、聖羅だろうなと思いつつ互いに断りを入れて画面を見る。
<すみません!急用で行けなくなりました~(>人<)っ>
「はぁ!?」
「聖羅さん…来れないみたいですね」
「…ですね」
仕方なくメニューから適当なものを選び、食事をしながら話をする。
「聖羅さんにはお話ししていたのですが、実はWEBの担当に逃げられまして…」
「えっ!?」
「複数仕事を受け持ってたみたいで…他の仕事も放って失踪中らしく…」
「それは…漫画みたいな…(汗)」
「ですが途中までは作られていて、後は少し特設ページを増やしたり更新していきたいんです。」
なんとも楽しそうに仕事の話をする人だ。
「わかりました。やらせてください。」
あらすじ:2017年